Shoe Shine WORKS

2023年10月4日9 分

自分に合った革靴サイズの見つけ方~既製靴とオーダー靴~

最終更新: 2023年10月5日

自分に適した革靴ってどこのブランドなの?

プロから見たお勧めの靴ってどこ?

スーツやジャケットを着用している方は誰しもが思うことではないでしょうか。

雑誌やSNSでイギリスやイタリアの格好いい靴が沢山紹介されています。

都会の百貨店に行けば、一堂に格好いい靴が沢山並んでいます。

「自分に合った靴」を探す旅はそこから始まります。

自分が知らない未知の世界に飛び込むのはワクワクします。

一方で、その答えを探す旅は簡単でありません。

進めば進むほど深みにはまる、まるで底なし沼のような世界です(笑)

気になる革靴が自分に合うかどうか、結局履いてみない事には分かりません。

購入してしばらく歩いてみないことには分かりません。

そして色々なブランドの革靴を購入していくと、当然かなりの出費になります。

昨今の物価高の時代ではなおさらです。

さて、ここからはそんな革靴購入の底なし沼にどっぷりと浸かった、著書自身の個人体験(失敗談と成功談)も踏まえてお話します。それが皆さまの今後の革靴購入にあたり、少しでも参考になればと思います。

これから全ての文章をご一読いただければ嬉しいですが、それなりの長文です。

はじめに構成を述べさせていただきます。

0.はじめに

1. 着用シーンを考える

2.履きやすい革靴を選ぶ

3.格好いい革靴を選ぶ

4.既製品と注文品の違いを理解する

5. コスパの高い注文靴屋を探す

6.まとめ

皆さまの元々持っておられる見識と興味の度合いもあるかと思います。

まずは結論ありきの方は、5から。

既製品はある程度買ってきていて、注文靴に興味がある方は、4から。

読んでいただいても構いません。

出来ればどの方にもはじめから読んでいただきたいですが、特に既製品をこれから買い足していく方は、最初からお読みください。

はじめに

まずは私の簡単な自己紹介をさせてください。

東京・大手町にあるShoe Shine WORKSという靴磨き修繕専門店を営んでおります。

店主の菊池と申します。会社は設立から10年以上が経ちます。靴は何万足と手に取って見てきました。

私個人の革靴遍歴は社会人になってから始まりました。それから20年弱経った現在。

今までの革靴の購入額は200万円以上。足数は20足を超えると思います。

そんな散財歴を持つからこそ、皆さまにお伝えできるお話が沢山あります。

以下、アドバイスという形式で項目ごとに説明していきます。

アドバイスその1 - 着用シーンを考える

一口に革靴と言っても色々な種類があります。

仕事で使う靴であっても、それが晴れの日用なのか雨の日用なのか。

(これは革靴の耐久性の観点から明確に分ける必要があります。)

仕事で使う靴の色は黒でないとダメなのか。明るめの茶色でも良いのか。

営業の外回りで使うかなりの歩数を要する靴なのか。

そんなに歩かない社内履きの靴なのか。

これらを一度整理するだけで、革靴選びはグッと楽になります。

アドバイスその2 - 履きやすい革靴を選ぶ

それは当然でしょうと思われる方も沢山いるかと思います。

しかしドレスシューズは窮屈過ぎても、余裕があり過ぎてもいけません。

簡単なようで、意外とその間のフィッテングを探し当てるのは難しいんです。

ピッタリだと思って購入した靴が、実は横幅が窮屈で、1日着用すると夕方になると足が痛くて歩けなくなるなんていうこともあります。

私はこの点、何足もの革靴選びに失敗し、履けないので手放すという勿体ない経験を何回もしてきました。

かと言って1サイズ大きい靴を選ぶと、横幅は大丈夫でも、今後はかかとがパカパカ抜けるなんていうこともよくあります。

靴を選ぶ際は信頼のおけるシューフィッターの方によく相談して靴を購入しましょう。

履きやすさだけを求めると、矯正靴など医学的な視点を取り入れた靴が選択肢となります。

分かりやすい例は、コンフォートシューズです。

足あたりが柔らかくて履き心地がとても優れています。

コンフォートシューズ以外でも、丸みを帯びた革靴や、底面がレザーではなくラバーになっている靴や、スエード靴など起毛素材の靴を選ぶと、履きやすさがグッと体感できるようになります。

しかし、履きやすいという点に重点を置きすぎると、全体としてカジュアルなデザインの靴が多くなります。スーツよりは、デニムやチノパンなどのカジュアルシーンで使いやすいデザインといえば分かりやすいかもしれません。

とりわけコンフォートシューズはスーツと合わせると俗にいう「ダサい」垢抜けない格好になります。

履きやすさと格好良さを同時に求めるのはかなり至難の業と言えます。

アドバイスその3 - 格好いい革靴を選ぶ

スーツに合わせる革靴は、必然的にスマートなシルエットでなくてはなりません。

それが大事な商談や営業で使う用途であればさおさらです。

しかし前述した通とおり、スマートな革靴はカジュアル靴に比べて窮屈な分、当然足に合うor合わない、痛いor痛くない、などフィッティングに関して繊細な問題が生じます。

私自身も過去に色々な既製靴(特に英国製の高級靴)を購入してきました。

自分に合った履きやすい靴やブランドは何なのだろうと思ってきたからです。

結論から申しますと「自分の足に合う既製靴はほとんどない」と思った方が良いです。

万人向けに作った靴であり、自分のために作られた靴ではないので当然といえば当然です。

特に欧州製の靴は日本人向けに作られている訳ではありません。

足の形やかかとの大きさだって、欧米人と日本人では全く異なります。

高額品や作り込みのしっかりした靴を買えば、自分の足にあった物があると言えばそれも違います。私自身、高い靴であればそうであってほしいという夢や願望を抱きましたが、それは幾度となく裏切られました。20万円以上する靴でも合わない靴は沢山あります。

しかし、この経験を経たからこそ気付いたことがあります。

「自分の足にぴったり合う靴がなぜないのか」と思うことを諦めることです。

そういうものなんだと理解すると気持ちがグッと楽になります。

なぜなら既製品は万人向けに作った物であり、自分のために作られた物ではないからです。

とは言え、逆に既製品の良さもあります。

形やデザインが完成されているということです。

分かりやすく格好いい革靴は見たまま、そのままで選べる既製品にこそあります。

靴を自分の足に合わせるのではなく、靴に自分の足を合わせるのです。

当然、足に合わなくて痛くなるなんていう事態もありえますが、そういう物なんだと割り切ることが大事です。

考えてみれば、女性がハイヒールを履くことだって、足が痛くなること以上に、自分をより美しく見せるために履いています。

アドバイスその4 - 既製品と注文品の違いを理解する

しかし、人間は欲深い生き物です。

前述した現実の世界を知った上でも「履きやすいし格好いい革靴」を探す旅や空想を止められません。

この両方を求める場合は、必然的にオーダー靴という答えにたどり着きます。

(ここから先も底が深い沼の世界ではありますが。。)

オーダーの種類は大きく分けて3つです。

①パターンオーダー

②セミ・ビスポーク

③ビスポーク

「履きやすさ」を条件に含めるならば①のパターンオーダーは選択肢から外してください。

デザインを色々選べますが、フィッティングは既製靴とほとんど一緒です。

究極を求めるならば、やはり③のビスポークでしょう。

自分の足を計測し、さらに自分の木型を作成してくれます。

ちなみに格好良くい靴になるかと言えば、実は作ってみない事には分かりません。

自分の足に合った靴が必ずしも格好いい靴に仕上がるとは限りません。

足の形を知った上でどうラストを修正し、格好よく見せるように努力をしてくれるか。

それはその時に対応してくれる職人さんによります。

格好いい形になるように努力してくれればこの上ない幸運と言えます。

相性もあります。結局は人の手で作りますし感情だってあります。最後は人間関係です。

とりわけ海外でビスポークをする場合は、英語や現地語によるコミュニケーションスキルも求められます。そして高額消費をするからと言って、必ずしも最高なサービスを受けられる訳ではありません。

特にヨーロッパの有名なビスポークシューメイカーは顧客を五万と抱えている訳で、超富裕層の顧客も沢山います。そんな中で初めての注文を1回試しにやってみるという位では、「自分のためにどこまで対応してくれるのか」という過度な期待は持たない方が良いでしょう。

私自身も海外でビスポークの経験もありますが、納期は数年遅れる、連絡しても返信がこない、特に悪びれる様子もない、なんてことは珍しいことではありません。

そうしたサービス対応に心配がある場合は、一個人として海外で注文するのではなく、来日トランクショーなど日本の会社が仲介して行なってくれる機会を選びましょう。

何かあってもそこを通して連絡をすれば良いわけで、語学の心配もする必要がなく安心感があります。

または、日本のビスポーク職人さんに作ってもらうのも良いと思います。

日本語ですし、何より丁寧な対応してくれますし、技術力は相当高いです。

欧米人でも日本の職人さんにオーダーする方が多数いるくらいです。

しかし、最大のネックはやはり費用でしょうか。

手仕事の手間暇や膨大な作業時間を考えれば当然なのですが、加えて昨今の物価高です。

日本国内でも40~50万円は当たり前ですし、欧州では100万円以上するなんてこともザラです。円安時はさらに費用がかかります。。

アドバイスその5 - コスパの高い注文靴屋を探す

人間は欲深い生き物です。

こうした事実を知った上でも「履きやすて格好良くて手頃な値段の靴」は存在しないのか。

と考える訳です。

結論から申し上げると、存在します。

ブルビスポークではなく、②セミ・ビスポークという方法を採用する注文靴屋を探すことです。

これは①パターンオーダーと③ビスポークの中間かつ良いトコ取り、さらには抜群のコストパフォーマンスを誇る方法と言えるでしょう。

良いトコ取りはどういうことかと申しますと、既製品の格好いい形をベースに自身の足の形に合うように補正してくれるため、履きやすさと格好良さを同時に実現できる可能性が高くなるわけです。

加えて、費用面です。

そもそも靴にビスポークで50万円かけるのはどうなのかと考えている殿方にも、この方法は強くお勧めします。費用も10~20万円以内位で収めることも可能です。

まとめ

本当であれば、コスパの高い注文靴店をここでご紹介しておきたいところですが、あることない事が誹謗中傷の別の解釈として拡散されてしまう昨今です。

あえてココではお伝え出来ませんが、私が在籍しております東京・大手町の靴磨き修理専門店Shoe Shine WORKSにお越しいただければ、色々とお話をさせていただけます。

手短に話せるテーマでもないので、よろしければ靴磨きの1足でもお持ちいただければ、靴を磨きながらゆっくりお話でもさせてくださいませ。

そして実は何を隠そう。

弊社でも最強のコスパ靴(セミビスポーク)であるScarpino【スカルピーノ】を展開しております。気になる方はクリックしていただけば詳細をご覧いただけます。

しかし本業(靴磨き修理)ではなく、店主の好きが高じた趣味の延長線上の展開です。

あくまで常連様向けの付属的なサービスの一環で展示しております。

押し売りも全くしておりませんのでご安心ください。

以上、少しでも皆様の今後の革靴ライフが彩りのあるものになれば幸いです。

長文となりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。

Shoe Shine WORKS

店主 菊池

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