革靴のつま先キズ修理とクリーニング
更新日:2018年5月9日
仕事中、気付いたらよくぶつけてしまう靴のつま先…

つま先をぶつけてしまう事は仕方のないことです。
問題はこの後どうすれば良いかという問題です。
よくやりがちなのはこの傷を隠そうと
この上から補色チューブのリキッドを塗りたくってしまうことです。
この方法は絶対にやめましょう。
革の上にプラスチックを埋め込むようなもので、万が一キズが隠れたとしても、革肌の上に大量のアクリル樹脂を流し込むことで、革の素肌がボロボロになってしまいます。
つまりは、ヒビ割れの原因にもなるのです。
まず大事なのは「表面の汚れや付着物を落とすこと」です。

何を使って汚れを落とせばいいかと言えば、いわゆる靴リムーバーです。
それを布に染み込ませて革の表面をさすってあげます。
しかしこの作業、実はかなり繊細です。
汚れを必死に落とそうと強くこすりすぎると、逆に革が傷んでしまうことがあるからです。
ご自身では手に負えないと思ったら、弊社のようなプロの専門店に早めにご相談ください。

そして普通であれば、この後、乳化性の靴クリームを塗っていくわけですが…
今回のようなキズは、靴クリームを塗っただけではキズを隠すことはできません。
今回お客様が気にされた傷は深く抉れて黒く変色し、凹凸になっています。
まずはそこを平らにすることから始めます。
つまりヤスリ掛けを行なうのです。

これもむやみやたらにヤスリ掛けをするわけではありません。
激しく擦ると、革自体が削れ過ぎて薄くなり、逆にその箇所が不自然になるからです。
(このヤスリ掛け自体は決して靴に良い事ではないのですが。詳しくは後述にて…)
細心の注意を払いながら作業を行います。

その後、顔料を極少量含ませた着色クリームを薄く塗り込みます
